ハイスクールデイズ
翌日から、正隆がモモの教室に姿を見せることはなくなった。

新聞配達のアルバイトは、奨学金を受け取ると同時にやめてしまっていたから、正隆との接点は煙のように消えてしまった。

(ううん、違う、接点なんて初めからなかった)

生徒会長としての最後の演説をするために、よどみない足取りでステージに向う正隆を、まぶしい思いで仰ぎ見る。

噂では東大の経済学部を受験するらしい。
卒業後はハーバードのビジネス・スクールへ進むという。
凛とした瞳の先には果てしなく広がる輝かしい未来が待ち受けているのだろう。

モモの成績は二年生になってから持ち直し、地方の公立大学に辛うじて滑り込むことができた。

その頃には、失踪していた父が自殺していたことが判明し、生命保険が入ってきたことで、皮肉にも生活苦から解放されていた。
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