徒然の裏側で
月が冴えわたる夜でした。
バイトに行くとき、冷たく鋭利に輝く月を見たのです。
人のふみいらない泉の、冬のキンとした冷たさのような。
そのときふと「月がわらう」のフレーズを思いついたんです。
しかもその月の温度は、微笑むわけじゃない、嘲笑うんだ、と。
そうしたら、なんで嘲笑うの。
月が人を嘲る理由、と考えて、嘘つきにしました。
失恋して、相手を祝福する。
心は泣いてるくせに、顔は笑う。
おばかさん、そう月は言った。