『花、愛でる人』
だから、
「良かったらこれっ、食べて下さいっ!」
ペコリと頭を下げ、目線の高い蓮の前までケーキの箱を差し出した。
顔は見えないけど、下げた視界から蓮の腕が一瞬驚いたようにピクッと動く。
いきなり過ぎただろうか……。
何の脈絡も無く突然ケーキを差し出した自分に早くも後悔し、おずおずと顔を定位置まで戻した。
それと同時に、
「甘い……美味しそうな匂い」
「ケーキッ。作ったから……」
「そっか。ありがとう、夢梨」
目の前の箱を受け取った蓮が、にっこりと笑いながら頭を撫でた。
くすぐったいような、嬉しいような……とにかく爆発しそうなくらい胸の中がドキドキとポカポカで一杯になっていく。
一番上手に出来たヤツを持ってきたんだもん。
夏葵の保証付きだし、蓮も美味しいって言ってくれるはず。
……なんて思っていたのは、とんだ思い違いだったんだろうか。
当の蓮は受け取った箱を持ったまま、立ち尽くしている。
そんな蓮を訝しんで見つめるわたしに、小さな不安がよぎる。
……もしかして、ケーキ嫌いなのかな。
「良かったらこれっ、食べて下さいっ!」
ペコリと頭を下げ、目線の高い蓮の前までケーキの箱を差し出した。
顔は見えないけど、下げた視界から蓮の腕が一瞬驚いたようにピクッと動く。
いきなり過ぎただろうか……。
何の脈絡も無く突然ケーキを差し出した自分に早くも後悔し、おずおずと顔を定位置まで戻した。
それと同時に、
「甘い……美味しそうな匂い」
「ケーキッ。作ったから……」
「そっか。ありがとう、夢梨」
目の前の箱を受け取った蓮が、にっこりと笑いながら頭を撫でた。
くすぐったいような、嬉しいような……とにかく爆発しそうなくらい胸の中がドキドキとポカポカで一杯になっていく。
一番上手に出来たヤツを持ってきたんだもん。
夏葵の保証付きだし、蓮も美味しいって言ってくれるはず。
……なんて思っていたのは、とんだ思い違いだったんだろうか。
当の蓮は受け取った箱を持ったまま、立ち尽くしている。
そんな蓮を訝しんで見つめるわたしに、小さな不安がよぎる。
……もしかして、ケーキ嫌いなのかな。