『花、愛でる人』
「表情がコロコロ変わって夢梨みたい」
極めつけは、こう言って無防備に顔を緩められたから……わたしの顔はさっきよりも真っ赤になった。
「……夢梨も食べたら甘酸っぱい?」
「っ全然! 汗掻いたからしょっぱいよっ!」
「あははっ」
蓮の囁きでしどろもどろするわたしを見て、楽しそうに笑う声と表情。
からかわれてるってわかってるのに、頬の赤らみが引かない。
「苺みたいだよ」
「ぅっ……」
やっぱり、そんなに赤いのかな?
両手で頬を押さえながら頭を傾げるわたしに、聞こえるか聞こえないか程の声で蓮は呟いた。
「ホント……苺みたいに『無邪気』だ」
向けられた優しい眼差しにしばらく、苺色のほっぺは治まりそうになかった……。