『花、愛でる人』
生涯の友情
「いきなり大学の図書館に連れて行けなんて言い出すと思ったら……」
「だって高校の図書室には無かったんだもん」
放課後になったのを見計らって、わたしは夏葵の通う大学の図書館に来ていた。
『図書館に行きたい』
なんて端的なメールを送り、走って向かった大学の門前では腕組みをした夏葵が如何にも不機嫌そうな顔で立っていた。
ヘラッと笑って見せたわたしに軽く溜め息をつき、夏葵は踵を返し中へ入っていく。
付いて来いよって合図。
……なんだかんだで付き合ってくれるんだから、夏葵は優しい奴だと思う。
「待ってよぉ、夏葵~」
「うっせぇな。さっさとしろっ」
なんてことを実感しながら、わたしは小走りに夏葵の背中を追いかけた。