『花、愛でる人』
大学の図書館はやたらに広い。
三階建ての建物の一階はDVDやらCDやらがズラッと並んで、鑑賞用ブースまである。
本棚の森……。
そびえた本棚をキョロキョロと首と視線を動かしながら見上げるわたしは、完全なおのぼりさん状態。
高校の図書室でも沢山本があるって思ったけど……比じゃない。
すっかり足元が止まりかけているわたしの手を引き、
「前を見ろっ」
ちょっと怒ったような呆れ顔の夏葵に、短い言葉で窘められた。
仕方ないなぁと言わんばかりの短い溜め息を吐き、そのまま手を引いて歩き出す。
「……お兄ちゃんだよね。夏葵って」
「……んな手の掛かる奴が俺の妹なワケないな」
「ヒドいなぁ、もうっ」
ずっと昔から変わらない構図。
兄妹みたいな幼なじみ。
「でも、小さい時はホントにお兄ちゃんなら良いのにって思ってたなぁ」
「…………」
いつもわたしを助けてくれていた二個上の幼なじみを、ずっと慕ってきたから。
だからきっと、かつてのわたしもそんなことを言ったんだろな。
三階建ての建物の一階はDVDやらCDやらがズラッと並んで、鑑賞用ブースまである。
本棚の森……。
そびえた本棚をキョロキョロと首と視線を動かしながら見上げるわたしは、完全なおのぼりさん状態。
高校の図書室でも沢山本があるって思ったけど……比じゃない。
すっかり足元が止まりかけているわたしの手を引き、
「前を見ろっ」
ちょっと怒ったような呆れ顔の夏葵に、短い言葉で窘められた。
仕方ないなぁと言わんばかりの短い溜め息を吐き、そのまま手を引いて歩き出す。
「……お兄ちゃんだよね。夏葵って」
「……んな手の掛かる奴が俺の妹なワケないな」
「ヒドいなぁ、もうっ」
ずっと昔から変わらない構図。
兄妹みたいな幼なじみ。
「でも、小さい時はホントにお兄ちゃんなら良いのにって思ってたなぁ」
「…………」
いつもわたしを助けてくれていた二個上の幼なじみを、ずっと慕ってきたから。
だからきっと、かつてのわたしもそんなことを言ったんだろな。