『花、愛でる人』
まるで子どものお使いばりに声が大きくなってしまった……。
わたしの前で蓮は、優しい顔で頷いてくれる。
「アイリスは何本くらい?」
淡い紫色したアイリスの前にしゃがみ込み、蓮が上目にわたしを見上げた。
ぎこちない手つきで手のひらを広げ、蓮に答えたわたしに頷いた。
淡い紫色は蓮の白い手に包まれている。
「霞草は?」
「……一緒くらい」
「ちょっと多いかもしれないけど……」
「良いよっ。むしろ……多い方が」
詰まり詰まりに答えたわたしに微笑んだ蓮はそれ以上何も言わず、霞草を手に取った。
「そこに座って待ってて」
レジの前にある丸いテーブルに促し、蓮は蓮の中へと入ってしまう。
木製の椅子に遠慮がちに腰を下ろし、アイリスを束ねていく蓮の横顔をぼんやり見つめる。
白い指先にアイリスの茎を絡め、真剣な面持ちでそれらを見る眼差し。