『花、愛でる人』
「……迷惑なお客さんだって言いたいの?」
「客商売の上、ではな」
そんなにわたしをどん底に突き落として楽しいか……。
「でも、蓮は違うだろ」
「えっ?」
「客として見てたら、そんなもの贈ったり……商売道具の花をわざわざプレゼントしねぇよ。普通」
さっきから口調は変わらないのに……言ってることはつまり……、
「悩むのは蓮に答えを聞いてから、だ」
励ましてくれてるんだ……やっぱり。
いつになく優しい口調をした夏葵が、頭を不器用に撫でる。
「当たって砕けて来い。……骨は拾ってやる」
「なんでダメって前提なのよっ! 夏葵のバカ」
ククッと短く笑った夏葵に、いーっとしかめっ面をしてそっぽを向いた。
ダメ元って決め付けてる辺りが腑に落ちなかったけど、沈んでた胸のモヤモヤはすっかり吹き飛んだ。
想いを込めて渡したアイリスと霞草の花束の答えを貰おう。