『花、愛でる人』
答えをください
昨日は目が冴えてなかなか眠れなかった。
明日こそは蓮に、わたしが伝えた気持ちへの答えを貰おう。
そう決意したからだ。
何度となく寝返りを打ってみるけど、胸の中を渦巻く不安と緊張は増すばかりだった。
「……はぁ」
……溜め息も何度目だろう。
もう数え切れない程してる。
身なりを整えて全身鏡の前に立ったわたしは、寝不足気味の顔してる。
「ダメダメっ。笑え! 夢梨っ」
鏡の中のおんなじ顔に檄を飛してみる。
夏葵だって言ってたもんね。
わたしの童顔だって、何も考えずに笑ってればそれなりに見えなくないって……。
褒めてんだか違うんだかわかんないけど、勇気付けられたのは確か。
それに、
「…………」
少し前から変わった携帯の待ち受けを開いた。
真っ直ぐ空に伸びるポプラ。
玉砕しても骨は拾ってやるって……。
「よしっ」
携帯を握り締め、鏡の自分へ精一杯笑ってみせる。
「……『答えをください』」
おまじないのように呟き、ラベンダー色のコロンをそっと吹きかけた。