『花、愛でる人』
細長い花びらが重なりあったその花に、思わず見上げた顔は、
「あっ……」
わたしに優しく笑いかけてくれている。
この雰囲気……どことなく似てる。
「白のアスターの花言葉。『わたしを信じて』……蓮からの無言の伝言」
受け取ったアスターをじっと見つめ、わたしは蓮の顔を思い浮かべた。
優しい笑顔が頭に浮かんだ瞬間、
「兄をよろしくっ」
見上げた笑顔と重なる。
……蓮の妹さんだったんだ。
顔立ちも何となく似てるけど、特に笑顔はそっくりだ……。
蓮の妹さんにもう一度お辞儀をして、わたしは預かったメモに目を通した。
薄い鉛筆で書かれたその場所に蓮が居る……。
蓮からの無言の伝言に答える為に、わたしは貰ったアスターを握り締めて駆け出した。