『花、愛でる人』
わたしを必死に抱き締めてくれる腕も、震える声で紡いでくれる言葉も……全部信じてるよ。
だから、
「忘れないで……忘れないで、良いよっ」
わたしも蓮と一緒に忘れないから……。
「夢梨……っ」
戸惑ったような、困ったような蓮を涙の残る瞳で見上げて、精一杯にっと笑いかけた。
それに応えるように、小さく笑った蓮がコツンと、オデコをくっつける。
「じゃあ……約束」
ずっと一緒に居よ……。
大切な人を二度と失いたくない、蓮を絶対独りぼっちにしない。
繋いだ手の小指をどちらともなく絡め、約束を交わした。