『花、愛でる人』
epilogue from……
あれから半年以上が過ぎ、高校を卒業したわたしは無事、夏葵の後輩へとなっていた。
百合奈さんの事故で、大学を休学していた蓮と一緒に……。
「夏葵~っ」
午後の講義を終え、待ち合わせていた蓮と並んでキャンパスを歩いていたわたしたち。
目の前を歩く夏葵が見えて、思わず駆け寄った。
「大声で呼ぶなっ」
「痛ッ! 叩かないでよっ」
近付くなりパチンとオデコを叩かれて、さっきよりもっと大きな声で夏葵に怒りをぶつける。
それをさも鬱陶しそうに一瞥する夏葵は、溜め息を零して後ろを振り返った。
「こんなうるさいのとよく一緒に居れるな、蓮」
「はははっ。なんで? 可愛いよ?」
呆れた夏葵にサラッと笑顔で切り返す蓮に、思わず頬が真っ赤になっていくのがわかる。
「おまえもいい加減慣れろっ」
「うるさいなぁ……」
未だに蓮の天然発言に慣れず、毎回赤くなるわたしに毎回呆れる夏葵。
……早く慣れたいよ、わたしだって。
毎回ドキドキして、心臓に悪いし……。