Bitter Love〜苦くて切ない恋〜

特別な約束

翌日、あたしはまた店にきた。

「またきたんだ」

呆れたように憎まれ口をたたく芯。

「別にいいじゃない」

中沢さんが、いた。

「まあちょうど、雪ちゃんの話をしてたし、2人でごゆっくり」

芯がグラスを磨き始めた。

そこは気を使うとこでしょ。

そう思いながら、中沢さんの隣に座った。

「昨日、俺のこと聞いてたんだって?」

中沢さんが言った。

「えっ?」

驚いて声が出た。

中沢さんがグラス磨きをしている芯を指差す。

芯のおしゃべり!

そう思いながら、芯をにらんでも他人事みたいな顔。

それであたしのことを話してた訳なのね。

いいんだか悪いんだか。

「仲良しだよね、雪ちゃんと芯くん」

中沢さんが笑いながら言った。

「仲良しな訳ないじゃないですか!」

あたしと芯の声がハモった。

お互い顔を見合わす。

「やっぱり、仲良しじゃん」

芯はグラス磨きを始めた。

あたしは芯をにらむ。

都合の悪い時だけ、グラス磨きか!
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