さよならイエスタデイ【短】
さよならイエスタデイ
不器用なあたし
――何も言えない自分にさよならしたい。
「慧(ケイ)くんーっっ!」
そんな女子の黄色い声にイライラする。
なんであんな高い声が出せるんだ。
とてもあたしと同い年だとは思えない。
そう思いつつ、ちらりと廊下を見る。
窓ごしに見える彼女たちの目は、
少しでも大きく見せようと格闘した跡が見える。
まさに、今時の高校生って感じだ。
……それに比べてあたしは。
声は低い。
背は普通の女の子より高い。
スポーツもできる方だし。
…もちろん、スッピンだし…。
どこをとっても、
女の子らしさというものがなくて。
男の子より女の子にモテる…という現状だ。
――あいつも、あたしを男として見てるんだろうな。
そう思うと、少しだけ悲しくなった。