さよならイエスタデイ【短】
…今、何が起こっているんですか。
薄くフィルターのかかったままの目を見開いて、慧を見る。
「…その目でさー、見つめないで。
もっとしたくなるから」
『!!』
な、何考えてんのコイツ!?
今あったことは現実だったんだ。
あたしは今、慧と、慧と――。
「霞のファーストキス、もらっちゃった」
『……!』
いきなり突き付けられた現実に耐え切れず、
へなへなとその場に座りこむ。
「霞」
なんで。
なんでそんな優しい声であたしを呼ぶんだろう。
「…霞は今…好きな人や彼氏はいる?」
『え?』
好きな人なら目の前にいますが。
ファーストキス奪われましたが。
でも、慧の瞳は、少し不安そうに見えた。
「いるなら…ゴメン。
これが俺の気持ちだから」
『………』
「でも、でも。
もしいないなら――」
慧ははっきりとあたしの目を見て、
「霞を俺のものにする」
その言葉に、爆発しそうになった。