さよならイエスタデイ【短】
『し、心配しなくて…いいから』
「……え?」
『あたしも…慧が、好きだから』
そう言った時、
慧の瞳の奥が揺れた気がした。
「慧くんーっっ!」
…ホント、女子の黄色い声にはイライラする。
あんな高い声が出せるのはおかしい。
絶対あたしと同い年なんかじゃない。
そう思いつつ、ちらりと廊下を見る。
窓ごしに見える彼女たちの目は、
少しでも大きく見せようと格闘した跡がまたもや見えた。
今時の高校生ってあんな感じなのか。
―そして、その女子たちに囲まれている男をチラリと見る。
ソイツは困ったように、顔を歪めて――、
「…俺さ、彼女いるから。
だから、ソイツ以外の女とは話したくない」
慧のその言葉を聞いて、
あたしは口元が緩むのを感じた――。
END