『naturally』
Ⅲ
開始直前の舞踏会会場の入り口。
扉の隙間から漏れる光も、華やかな音楽も、自分には関係ないといったいつもの無表情でシェナはそこに立っていた。
「続きしよーや」
目の前に現れた人影を見上げたシェナの瞳が微かに揺れる。
「リュ、リューシュ様っ」
シェナの答えを待たずしてさっさと歩いていくリューシュの背中に声をかけるが、一向にリューシュは振り返らない。
シェナが無視出来ないことをわかっているからこそ、ワザと振り返らないのだ。
諦めてついて来る足音に安心しながら、リューシュは少し歩調を緩める。
「舞踏会、始まってしまいますが……」
「俺が踊れるように見えるか?」
「……えっ」
「俺は王子だけど踊れないし、舞踏会にも興味ない。むしろ嫌いだ」
前を向き、足を進めながらリューシュは話を続けていく。
その隣でシェナは黙ってそれに、耳を傾けていた。
扉の隙間から漏れる光も、華やかな音楽も、自分には関係ないといったいつもの無表情でシェナはそこに立っていた。
「続きしよーや」
目の前に現れた人影を見上げたシェナの瞳が微かに揺れる。
「リュ、リューシュ様っ」
シェナの答えを待たずしてさっさと歩いていくリューシュの背中に声をかけるが、一向にリューシュは振り返らない。
シェナが無視出来ないことをわかっているからこそ、ワザと振り返らないのだ。
諦めてついて来る足音に安心しながら、リューシュは少し歩調を緩める。
「舞踏会、始まってしまいますが……」
「俺が踊れるように見えるか?」
「……えっ」
「俺は王子だけど踊れないし、舞踏会にも興味ない。むしろ嫌いだ」
前を向き、足を進めながらリューシュは話を続けていく。
その隣でシェナは黙ってそれに、耳を傾けていた。