『naturally』
「俺には兄貴が二人いてな、昔から勉強好きで頭良くて要領も良いのが次兄。いずれコイツが王位を継ぐと思う」
「んで長兄。コイツは記憶力と人当たりが良い。だから国交で国を盛んにしてる」
「……第二王子が王位を継がれるのですか?」
気がつけば昨日、一戦を交えた広い庭に出ていた。
立ち止まったリューシュを見つめて尋ねるシェナの表情は、予想通り怪訝そうだった。
「不思議か?」
「……はい。クロチェでは考えられない」
「女が剣を振るうこともか?」
こう言ってリューシュが真っ直ぐにシェナを見つめる。
城や客室棟の灯りがあるとはいえ、剣が交えられる程ではない。
最初からそのつもりなんてリューシュには無かったのだ。
リューシュが知りたいのはただ一つ。
リューシュの問いかけに黙って、でもしっかりとシェナが頷いた理由だけだ。
「わたしがミリザ姫の親兵になった経緯が知りたいのですか?」
「まぁ、それも気になるけど。なんで伝統を重んじるはずのクロチェで女のおまえが剣術なんかやってんだ?」