『naturally』
八歳上の長兄ナッシュは国交の勉強中ということで婚期を自ら遅らせている。


五歳上の次兄セルシュは何人かいる花嫁候補から相手を検討中で未だ独身。


そして、一番下ということで両親にたっぷり可愛がられ自由気ままに育てられてきた三男のリューシュ。


「母上にいち早く孫の顔を見せて安心させてやるのがおまえが出来る一番の親孝行なんだぞ」

「だな。おまえが一番身軽なんだ」


親孝行だと言うナッシュの言葉もそれに同意するセルシュの言葉もわからないリューシュではない。


「つーかな、子どもじゃないんだ。着飾った女が嫌とか言ってないで舞踏会くらい出ろっ」

「セルシュの言う通りだ。 あっ! 昨日言ってたクロチェ国の姫はどうした? 」

「だからクロチェの姫は違う! 関係ない」


あくまでも舞踏会に出ることに首を縦に振らない。

気の長い方じゃないセルシュはリューシュのこの態度にいい加減苛つき始めていた。
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