『naturally』
「衣装部屋でドレス見てるおまえ見ちまったから」
「あっ……」
「いくら男の格好してたっておまえは女だろ。綺麗なドレスに惹かれる感情があるのは当たり前だ」
それは今まで必死に隠していた感情だった。
亡き弟の代わりであろうとしたが故に、隠していた女らしさへの憧れ。
誰にも見つからないように隠していたのに、リューシュにはこんなにもあっさりと見破られてしまった。
「ドレス着るくらいバチ当たんないって。おーい、後頼む」
リューシュの呼びかけで、部屋の奥から見覚えのある侍女が現れる。
「かしこまりました……あら。あなたはリューシュ様といらした剣士様」
何度となくリューシュを探して走り回っていたあの侍女だ。
ドレスの着替えを頼まれていた侍女は、部屋に現れた見覚えある剣士に驚きの声をあげた。
「女性の方だったのですね。道理で体の線も細くて美しいはずです」
「そんなことは……」
急に女であることを意識させられ、さっきから恥ずかしさが止まらない。
そんなシェナに侍女は、明るい笑顔を向けていた。