『naturally』
Ⅶ
あれから数ヶ月の月日が流れた。
リューシュとの出逢い。
あれ以来シェナは、女である自分の気持ちを偽り続けることが辛くなっている。
そんな自分に気付いたシェナは、ミリザ姫の親兵を辞職することを申し出ていた。
「リューシュ様ね? あなたを本物のシェナに戻したのは」
一番傍でシェナの変化に気づいていたミリザ姫が快諾したことによって、シェナの辞職が決まった。
ミリザ姫付きの親兵でなくなるシェナに、クロチェ国での存在理由はなくなる。
彼女の父がそうであったように、シェナも国外追放されるのだ。
それでもシェナに後悔はない。
偽り続けた自分を認め、愛してくれた存在が居る。
その想いを胸にシェナは新天地で、堂々と女性として生きていくことを決めていたのだ。