『naturally』
「今日はマーセル国から外交に来るらしいぜ」
クロチェ城の門番たちが、風に乗って流れてきた噂話をしている。
閉鎖的な自国への珍しい訪問者に、皆関心があるようだ。
「マーセルから? 願ってもないチャンスだな」
「但し、締結には条件とやらがあるらしい」
閉鎖的なクロチェがマーセルとの繋がりを求め、交流会に参加したことが懐かしい記憶になりつつある今日この頃。
なんの進展も音沙汰も無かったマーセルからの、思いがけない申し出にクロチェはやや浮き足立っていた。
「条件って?」
「条件か? 確か……」