『naturally』

「今日はマーセル国から外交に来るらしいぜ」


クロチェ城の門番たちが、風に乗って流れてきた噂話をしている。


閉鎖的な自国への珍しい訪問者に、皆関心があるようだ。


「マーセルから? 願ってもないチャンスだな」

「但し、締結には条件とやらがあるらしい」


閉鎖的なクロチェがマーセルとの繋がりを求め、交流会に参加したことが懐かしい記憶になりつつある今日この頃。


なんの進展も音沙汰も無かったマーセルからの、思いがけない申し出にクロチェはやや浮き足立っていた。


「条件って?」

「条件か? 確か……」


< 39 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop