『naturally』
「シェナ」
「はい。何でしょうか?」
正式な退職まで残り数日。
最後までミリザ姫に仕えることを望んだシェナを、姫が呼びつけたていた。
「今からいらっしゃる来客をご案内して頂戴」
「わたしがですか?」
「えぇ。お父様の部屋の前までお願いね」
「……承知いたしました」
退職を前にした自分を何故、王への客人の案内という大役に選んだのか。
小さな疑問を胸に、城の入り口に立つ人影に駆け寄って深く一礼した。
「お待たせいたしました。……っ」
「……見つけた」