短小説
素っぴん
化粧をしていない顔、素顔のこと。
これすなわち、『素っぴん』。
私は絶対に素顔なんて見られたくない。
せっかくキレイな私を作り上げたのに…素っぴんなんて。
怖い、彼が…大好きな彼氏が私の素っぴんを見て引くんじゃないかって怖い。
「一緒にお風呂に入ろう」
甘える彼。
しぶしぶ…入る。
「化粧落としたら?」
風呂の中でも化粧を落とさない。
素っぴんになれと?
なれるわけない!!
そんな思いとは裏腹にモワモワと湧き上がる蒸気により落ちる落ちる化粧たち。
恥ずかしい。
「…なんだ!!可愛いじゃん」
じーっと私を見つめた彼がつぶやいた。
うれしい言葉。
恥ずかしいけど…やっぱり素っぴんが一番だよね。
とか、思ったけど…次の日からはギラギラに化粧を塗りたぐる。
完
*上目~
ふっ、化粧とかそうそうやらない上なので…。
『素っぴんが一番!!』を掲げたかったのです。
2009,1,13