短小説
降り出した雨
恋人の二人の前に雨はしとしと降り出した。
今日は初デート中。
話題の映画を見て、帰る時雨が降っていた。
ぼう然と雨を見つめる二人。
「雨だね」
女はカバンの中をゴソゴソあさった。
「ごめん、折りたたみ傘忘れた」
おっちょこちょいな女。
二人は途方に暮れる。
「ここにいてもしょうがないし、駅まで走って行こうか…」
女はヒールを履いていた。
ぬれたくない、走りたくない、わがまま。
「二人でゆっくり行こう」
男は女の手をとってゆっくり走り出した。
二人にとって初の手にぎり!!
雨はひどい降りなわけではなく、ゆっくり走ってもびしょぬれまではいかなかった。
駅についても二人の手はつながれたまま。
電車に乗っても、女の家に着くまで二人の手は離れなかった。
二人が電車に揺られていたら雨は止んでいた。
きまぐれな雨。
二人の距離は縮まった。
振り出した雨のおかげで!!
完
*上目~
『想いを伝える前のため息』の二人です。
…とくにコメントなしです☆
2009,1,28の分30日