短小説
「何か天使の羽みたいだね」
そう言って悠さんは微笑んでいた。
「その天使羽むしられちゃったの?」
夢のないことを言う兄さん。
悠さんも僕もため息ものだ。
「どうしてそうなるのよ」
笑いながら兄さんを許している悠さん。
どうして、兄さんみたいな男がいいのだろう。
超現実主義で動くより頭で考える、理論ばかり言う男を…どうして好きなのだろう?
僕には兄さんの魅力が解からない。
悠さんのことがわからない。
「雪積もるかな?」
「積もらないよ、この雪は…地面に落ちたら溶けるだろう。
こういうのは、水になってこの寒さで氷になるタイプだよ」
兄さんの声を流しつつ、悠さんは窓越しから外を見上げる。
僕は夕飯に集中した。