短小説
ある日、学校から家に帰ったとき。
泣いていた。
兄さんが浮気をしたようだ。
悠さんともう一人女がいて二人の女は泣いていた。
兄さんは二人の真ん中で困っていた。
どうしてこういうことを自分の家でやるのだろう。
弟の僕に見られて嫌だったのか、僕と目が合ってにらみつけてきた。
「バカだ」
小声で言った。
兄さんは浮気のセンスがない。
浮気をするならば、バレないようにしなくてはいけない。
それが本気になってしまったのなら言うべきだ。
これ僕の答え。
兄さんは全て大ざっぱ過ぎる。
「別れる、サヨナラ」
と、急にヒステリーになった悠さんは自分の部屋に行こうとしている僕の腕を引っぱって外に出た。
「え?」
引っぱられて僕は意味が解からなかった。