短小説
結構走った。
そして、だんだんとスピードはおち歩き始めた。
「は~あ、走った~!!」
悠さんはしっかりと僕の手をにぎっていた。
「あの~」
どうしていいかわからなかった。
「ん?」
振り返った悠さんにはキラリと光る汗が流れた。
「ア~ごめんね」
にかっと笑う。
目を奪われた。
手をつないでいた手を離された。
少し惜しい気持ち。
「何か一人でいたくなくって、君を連れだしてしまった」
悪ぶりもなくけろっと言った。
君…僕の名前を知らないんだろうな。
「ねぇ~由喜くん」
ふと僕の名前を呼ぶ。
悠さんをじっと見てしまった。
「ん?私の顔何かついてる?」
「…あ、いえ…どうしたんですか?」