短小説
想いを伝える前のため息
ある日の帰り道。
一人しゃがみ込んでいる男子がいた。
その横を通り横目でチラリ。
ドキッとして足が止まってしまった。
その男子は同じクラスの子だった。
「あ~小田 萌(おだ もえ)ちゃん!!」
自分の隣りで立ち止まる私に声をかけた。
その男子は井原 央助(いはら おうすけ)という。
井原くんはノラ猫とじゃれあっていた。
私は井原くんの笑顔に見とれてしまった。
「かわいいだろ~!!」
猫を自分の顔にくっつけて私に見せてくれた。
それから伊原くんを見てしまっている。
伊原くんはお調子者でみんなから好かれていた。
井原くんの周りには男女問わずたくさん友達がいた。
彼はよく歌っていた。
井原くんの周りはいつもにぎやかだった。
私はその中に入れない…
私は静か過ぎる。