喫茶ノムラへいらっしゃい!
結局、作戦なんて練れないまま、バレンタインデー当日になってしまった。

「あかりぃ〜、どうしよ。私、結局、何にも考えてないよぉ。」

「大丈夫。いろいろ考えてるのは、羽奈っぽくない。」

灯吏はうんうんと、ひとりで納得している。

私は何が大丈夫なのか、さっぱりわからない。

人生最初の告白なのに…。

「大丈夫。羽奈ならできるよ。ほら、行っといで!」

灯吏にポンと背中を押されて、かっちゃんのところに近づいた。

珍しくかっちゃんの周りには誰もいない。


「かっちゃん、おはよ。」

「あっ、羽奈。おはよう。」

ニッとかっちゃんが笑う。

その笑顔で、また胸がキュンとなる。

「かっちゃん、今日の放課後、ヒマ?」

「うーん、部活終わった後でいいなら大丈夫だけど?」

「ちょっとついてきてほしいところがあるんだけど…。」

「うん、いいよ。」

「じゃあ、正門で待ってる。」
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