喫茶ノムラへいらっしゃい!
「羽奈さぁ、もういい加減素直になりなよ。」

「何が?」

「だからさぁ――」

部活が終わり、私と灯吏は家に向かう。

夕方と夜の間、空が薄暗くなっていく、こんな時間をなんて表せばいいんだろう。

「…って、羽奈っ、聞いてる?!」

「何が?」

「んもう、だから、いい加減素直になりなよ、って言ってるの!山科君、好きなんでしょ?」

「うーん…好き、って言うか…」

「はっきりしなさいよ。このままでいいの?」

「私とかっちゃんの関係は…そうだねぇ…今の時間みたいな感じ?夕方でもないし夜でもない、みたいな。」

「何言ってんの?!意味わかんない。」

「そのくらい微妙な関係ってこと。」

「ふーん。じゃ、夜か夕方かはっきりさせなよ。もうすぐバレンタインだし。」

そう言って、灯吏はにっこり笑った。

この灯吏の笑顔は、何かを企んでいるときだ。
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