* 唯一無二 * ☆最初で最後の想い☆
俺の視線に気付いたのか…果凜は
俺と目が合うと首を傾げながら笑った。


すぐに果凜の視線は岳に戻されて
二人はまた楽しそうに話し出す。


この時.俺は産まれて初めて胸の痛みを感じた。


本気で女に惚れた事が無い俺には
この胸の痛みがどんな感情なのか
知る筈もなく…。


ただ…ずっとドキドキが止まらずに自分でも戸惑いを隠せなかった。


「ここで.いいよ…。
送ってくれてありがとう。
陸君もありがとう…。また今度
ゆっくり話そうね。
じゃあ前園君.帰るね。(笑)」


「あぁ。(笑)家に着いたら電話して…。気を付けて帰れよ。」


「うん!!着いたら電話する。じゃあね…バイバイ。」


果凜は別れ際.俺の方なんて
一度も見ずに…岳だけに笑顔を
見せている。


俺から見えるのは果凜の横顔だけ…。


最後の最後まで岳の方だけを見ていたんだ。


当たり前の事か…。(笑)


岳も改札口に入って行く果凜の
後ろ姿をずっと見つめている。


俺は今までこんな風に女を見送る
事なんてあったっけ…?


そんな事を考えながら岳を見ると
寂しそうな顔をしていた。
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