* 唯一無二 * ☆最初で最後の想い☆
傷害罪で1年の少年院での生活。


これが俺に対しての処分だった。


岳は生死をさ迷いながらも一命を取り留めた。


皮肉にも岳が運ばれた病院は
星野総合病院。


脳挫傷に内臓破裂…全身打撲。


それでも奴は生きていたんだ…。


俺は事の真相を話さずただの兄弟喧嘩の末の犯行だと自供した。


それは岳の為なんかじゃない。


真相を話す事によって果懍の事が
公になる事だけは避けたかったんだ。


ただの兄弟喧嘩では無いだろう
と警察は疑っていたが俺は言い通した。


面会に来た親父とお袋は泣いていた。


自分の息子に生死をさ迷う程
の傷を負わせた相手も自分の
息子だった事に親父とお袋は
やり場の無い悲しみを背負って
いるんだと思う。


「あんなに仲が良かったのに…。
2人の間に何があったの?」

泣きながらそう聞くお袋に俺は
何も答えられない。


いつも明るくて元気だったお袋
の顔からは笑みは消え痩せ細り
親父の真っ黒だった髪にも目立つ
程に白髪が増えていた。


そんな.親父とお袋を見て初めて
俺の胸が痛たんだ。


親父…お袋…ごめん。


でも…俺はアイツを許す事が
出来なかったんだ。
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