* 唯一無二 * ☆最初で最後の想い☆
岳が心配そうな顔して何枚もの
毛布を俺に掛けてくれる。


「ありがと。ゴホン…二人の時間
邪魔して…ゴホン.ゴホン.ごめんな。
もう温かくなったから…ちょっと
眠るわ…。」


眠たくなんてなかった。


ただ…岳と居る果懍を見たく
なかったんだ。


「わかった。ゆっくり休め。何か
あったら部屋に居るから呼べよ。」


「陸君。本当に何かあったら呼んでね…。すぐに来るから。」


果懍の顔も不安げで…。


毛布を肩まで被せながらそう言ってくれる。


俺は果懍の顔も見ず無言で頷いた。


岳が果懍の肩を抱きながら俺の
部屋から出て行く。


俺はそんな二人の後ろ姿を見て
また胸の奥が痛くなる。


部屋から出る瞬間に果懍が振り返って俺を見た。


果懍と目が合って…痛かった胸が
ドキドキに変わる。


果懍は微笑みながら岳と
共に部屋から出て行った。


-バタン-


俺の息の音だけがする部屋。


身体が弱ってるせいなのか…
寂しさを感じて涙が出てきた。


俺…こんなに弱かったっけ…。
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