* 唯一無二 * ☆最初で最後の想い☆
まだ見ぬ子供の命と
自分の目の前に居る
愛する女の命…。


天秤にかけたら…
男は女を選び。


女は子供を選ぶ。


自分のお腹の中に
愛する男の子供が居る。


それは…無償の母性本能。


やっぱり…女はスゲェ…。


「誠也…俺もお前の立場だったら
お前と同じ事を考えてた。
でも…佐伯の気持ちを考えると…
産ませてあげる方がいいと思う。
最後の命なんだ…。
もし…諦めてしまったら…佐伯は
一生…母親としての幸せは
来ないんだぞ。
お前だって…そう考えてるから
佐伯にハッキリ言えねぇんだろ?」


「そうだよ…でも…もし…桃が
居なくなったら俺…どうすりゃ
いいんだよ…。」


「無責任だと思うかも
しれないけど…
誠也…奇跡を信じてみようぜ…
お前の子なんだぞ…きっと…
佐伯の事を守ってくれる…。」


「………。」


俺は信じていた。


誠也の子供なんだ…
きっと佐伯のガンだって
吹き飛ばしてくれる…。


「……そうだよな。
俺の子供なんだから…
ただ者じゃねぇかもな…。」


「あぁ。絶対に…ただ者じゃねぇよ。」


「陸…ありがとう。
俺…奇跡を信じてみるよ。」

そう言って誠也は
涙を拭った。
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