* 唯一無二 * ☆最初で最後の想い☆
俺は理学療法士になる為の
国家試験を来週に控えていた。


普通に生活出来る程に回復した
俺に医院長先生は言った。


「前園君.諦めずに良く
頑張ったね。
驚異の回復振りだよ。
君の頑張りには正直僕も
驚かされた。
うちでの治療はもう必要
ないと思う…前園君おめでとう。
でも自宅でのマッサージはまだ
続けた方がいいかもしれないね。」


「はい。長い間.本当に
お世話になりました。」


二度までも俺を救って生きる
希望を与えてくれた人。


自分も医院長先生の様に人に
夢や希望を与えられる人間に
なりたいと思う。


医院長先生に見送られながら
部屋を後にする。


この病院での最後のリハビリに
向かう途中の事だった。


「あっ…。」


向こうから俺が一番苦手と
する人物が看護士と共にや
って来る。


初めて会った時からこの人は
俺の全てを見抜いていたの
かもしれない。


一瞬.逃げ出したい
衝動にかられた。


その人の視線は俺を捕らえる。


捕らえられた俺はその場
から動く事が出来ずに居た。


「よっ…久しぶりだな。
悪い先に戻っててくれ。」


一緒に居た看護士は
頷きその場を去って行く。
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