* 唯一無二 * ☆最初で最後の想い☆
-トントン-


「陸?…入るぞ。」


岳が俺の部屋に入って来ていた。


「寝てたのか…。ごめん。」


俺は制服を着たまま寝てしまってたんだ。


部屋は真っ暗になっていて岳が
付けた明かりが眩しい。


「どうした…?」


俺の意識はまだハッキリせず
岳を見る。


「悪い。話してたら遅くなって
しまったんだ。
俺が送らなくちゃいけないん
だけどまた少し熱が出て来て…
星野を駅まで送ってやって欲しいんだ…。」


気付くとドアの前に果懍が立っていた。


「前園君.本当に1人で大丈夫だから…。」


「ダメだよ。外はもう暗くなってるし…。陸.頼む送ってやってくれないか?」


「………わかった。」


果懍を見ると不安そうな顔をしている。


俺と2人になるのが怖いんだろうな…。


そんな顔すんなよ…。


もう…何もしないから。


俺…お前の事は諦めるって決めたんだ。


もう…2人の邪魔はしないから。


「………送るよ。」


俺の言葉に果懍が微かに頷いた。


玄関まで岳も果懍を見送る。


「じゃあ.陸.頼んだぞ。」


「あぁ…。」


俺と果懍は岳に見送られながら家を出た。
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