* 唯一無二 * ☆最初で最後の想い☆
俺達の空白の時間の中には
常にお互いの存在が消えずに
結局は前に進めずにいたんだ。


果凜の幸せを願って選んだ別れ
はただお互いが苦しむだけの日々
だったのかもしれない。


でも…もしあのまま一緒に
居たとしたら…今日のこの
日を迎えられたのかな?


こんなに幸せな気持ちで
この日を迎えられたかな?


果凜は俺に岳をダブらせ
俺は果凜に対して岳が犯した
罪に負い目を感じていただろう。


そんな気持ちを抱えながら
今日と同じ気持ちでこの日
を迎えられなかったと俺は
思うんだ。


岳に時間が必要だった様に
俺達だって時間が必要だった。


辛い別れがあったからこそ…
俺も果凜も全ての事をリセット
する事が出来…岳に関しては罪の
重大さに気付き本来の自分を取り
戻す事が出来たんだと思う。


「果凜…岳の事…ごめん。
結局.俺は岳を憎み切れ
なかった。
あの日…死んでも構わない
と思う程.岳が憎かったの
に…今は心の底から岳が生
きててくれて良かったと思
うんだ。本当にごめん…。」


果凜には悪いと思いながらも
俺は正直な気持ちを話した。


だって…やっぱり岳は俺の
たった一人の兄貴だから…。
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