* 唯一無二 * ☆最初で最後の想い☆
岳と俺は訳がわからずに
美咲ちゃんを見つめたまま。


俺達を見て婆ちゃんが
苦笑いしてる。


「前園君.わからない?
美咲ちゃんのお腹に前園君
の子供が居るの!!
前園君パパになるんだよ。(笑)」


果凜に言われて岳と俺は
言葉の意味を知った。


「えっ?…美咲…本当に?」


「うん。」


岳が親父になる…。


「岳.おめでとう!!」


「陸…俺…親になるんだって…。
嬉しい…。スゲェ…嬉しいよ…。
美咲.ありがとう…。」


岳の目から涙が溢れていた。


プライドが高く傲慢で自分
の事しか考えていなかった
岳はもう完全に居ない。


誠也が言っていた言葉を
ふと思い出す。


「俺.桃と楓花.それに今度
産まれて来る子供の為に
死ねって言われたら死ねるもん。」


今の岳だったら…きっと
同じ事を思うんだろうな。


岳の溢れる涙がそれを
証明している様に思えた。


「婆ちゃん長生きして良かった。
もうすぐ.ひ孫が見れるんだね。
岳.美咲ちゃんありがとね。」


婆ちゃんの言葉に美咲ちゃんが
嬉しそうに笑った。


感動でずっと泣いていた岳。


帰りには美咲ちゃんを労る様に
車に乗せ笑顔で帰って行った。
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