* 唯一無二 * ☆最初で最後の想い☆
俺はこんなにも怒りを表す岳を
初めて見たかもしれない。


岳の異変にお袋もキッチンから
慌てて出て来る。


「2人共どうしたの!!
岳!!落ち着きなさい!!」


お袋が俺の胸倉を掴んでいる岳の
手を離そうと必死になっていた。


「図星かよ!!殴れるもんなら
殴ってみろ!!俺はケンカなら
お前に負けねぇ!!」


「陸!!俺の質問に答えろよ!!」


岳の手が震えていた。


「取ってねぇよ!!嘘だと思うならテメェの女に聞けばいいだろうが!!それとも聞けねぇ理由でもあんのかよ!!」


「………。嘘だったら俺はお前を許さないからな…。」


岳の手が緩む。


「何だよ。殴らねぇのかよ!!」


「陸!!岳を煽るような事を言う
のは止めなさい!!」


「…俺は暴力は嫌いだから。(笑)」


そう言いながら岳が部屋へと
戻って行く。


何なんだよ…ふざけんな。


「陸!!何があったの!?
岳があんなに怒るなんて…。」


「知るかよ!!岳に聞けよ!!」


「知らない筈が無いでしょ!!」


「うるせぇ!!」


お袋はうろたえていた。


俺の態度にでは無く岳の初めて見る行動に対してだ。


この日を境に俺は岳と話さなくなった。
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