ある日の不思議なお話【前編】
「おぉ!猫みっけ!」
ん…何?
「うわぁ濡れてるよ」
濡れてる?
雨が降ったの?
その時だった
いきなり視界が
変わる
「飼い主わ~?」
低いのに高い声
どっかで聞いた
事ある
まだ完全に目が
覚めてないけど
何故か
落ち着く
「一人ぼっちかぁ?
…ん…
俺ん家来る?」
あたしは声を出す
でもいつもと違うケド
違和感はない
「入れるトコねぇ…
あっ帽子」
でっかいボウルに
入れられて
それごと大きく
揺れ動く
あたしの好きな柄の
迷彩
良い香りの
シャンプーの匂い
心地いい揺れのせいで
あたしはまた
眠りについた
ん……
起きるとそこは
誰かの家だった
さっきの声の主は
どこかへ
ったようだった
あたしはボウルから
出て立ち上がったが
いつものようには
床が遠く離れて行かない
あれ?
ちょうど目の前に鏡が
あった
『!!』
あたし猫になってる…?