黄昏に君と


ふと、草むらに何か白いものが見えた。

一瞬"あいつら"か、と身構えたが、すぐにそれが人工的に作られたものであることに気がついた。



『この先 蛍の池 ※足元注意!』



少々字体が古いような気もしたが、紛れも無く、観光名所などに立てているものと同じような看板が、そこに立てられていた。


「この先に、池なんてあったんだ…。」


さっきまで急いでいたはずなのに、何故か看板の"蛍の池"という文字に惹かれていた。


少し寄っていくだけなら、大丈夫だろう。





茂みを手で書き分けつつ、看板の横を通ろうとした瞬間。

視界が揺らいだ。というか、体ごとまっさかさまに落ちていった。



「ぅわあぁぁあぁぁぁ!!」



どうやら、看板の向こうはすぐに坂だったらしい。
あまりにも突然のことで、オレは受身をとるのも忘れて5mはあるだろう坂道を転げ落ちた。



「くっそ…っ!『足元注意!』なんて回りくどいこと言わずに、『坂があります』ってストレートに書いとけってんだ馬鹿野郎ーっ!!」


どうやら、左足を軽くひねったみたいだった。足首のところがじんじんと痛む。




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