星空とミルクティー


「あれ?今日はマスターたちいないの?」


開店して数分後、カランカランと音をたてて開いたドアからは、常連さんの姿が覗いた。


「あ、いらっしゃいませー。
今日から4日間いないんですよ。」

「へぇー珍しいね。」


渉が受け答えする横で、蛍吾くんがいつもの緑茶を準備し始める。

…そう、このお店は何でも出すのだ。

メニューにはブレンドコーヒーと紅茶とオレンジジュースしかないのに。
緑茶も梅昆布茶もコーラもラムネも。
ミックスジュースもクリームソーダも。

それはドリンクだけじゃなくて、食べ物も。

喫茶店にありがちなサンドイッチはもちろん、
オムライスやナポリタンだって出すし、
近所の浪人生が来るとカツ丼だって出しちゃう。


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