星空とミルクティー


「さ、戻ろうか。」


カランカランと、どこか懐かしくなるような音をたてて、ドアが開く。


此処は Cafe【Ti amo.】

響きとしては、かっこいい感じだけど、
中身は、かなりレトロな喫茶店。

…うん、絶対「喫茶店」って言ったほうがイメージに近いと思う。
(でも「カフェ」だと伯父さんは言い張るんだ。)

店名だって、イタリア語で「私はあなたを愛しています」よ?
正直、くさくない!?
フランス語の「Je t´aime.」も迷ったらしいけど、あたしからすればどっちでも一緒。
(あ、でも「cafe」はフランス語だっけ?)



とにかく、此処は そんなお店。



自由人で、大きくて、いつも豪快に笑う伯父さんが、マスター。
その伯父を支える、繊細で、あったかくて、いつも上品に笑う伯母さん。

そんな2人の息子である、従兄弟の渉。
バイトのあたしと、蛍吾くん。

そんな5人が働くお店には、今日12月30日から1月2日までの4日間、渉と蛍吾くんとあたしの3人だけ。


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