ねらわれ体質


私には6歳年の離れた兄がいる。

それが岸和田隆次、23歳。
性格は、とてつもなく自由奔放。



――昨日のことだった。



「なあ真花、俺今日から彼女と一緒に暮らす」

「は?」



唐突に彼はそう言った。
私は思いっきり顔をしかめて言葉を返した。


私と兄はそれまで訳あって二人暮らしをしていた。

自由気ままな兄に振り回されながらも、何とかこの日までうまくやってきたのだ。
主に私の忍耐強さによって。


それなのに、何の前触れもなくこれ?

まず彼女がいただなんて知らなかった。
別にブラコンな訳じゃないけど、だからっていきなりこんな話されても困る。


「彼女と、って……」

「あ、これ俺の彼女の美貴ちゃん。かーわいいっしょ」


そう言って差し出してきた写真には清楚そうな女の人と馬鹿兄の姿。
たしかに可愛いっていうかキレイ、美人。

ていうかこの写真夏じゃん、今冬じゃん!
ということは、けっこう前からつき合ってたの……?


「何コレ! 何でもっと早く言わなかったの!!!」

「えぇー、真花ヤキモチ?」

「ちげぇよ!」


思わず汚い言葉が出てしまった。
私が憤慨しているにも関わらず、兄はアホ面でへらへらと笑っている。

美貴さんとやら、こんなんでごめんなさい!
ていうかどこがいいの、こんな奴。

< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop