‐白雪姫と悪魔なアイツ‐



 シンプルなスケジュール帳を鞄から取
 り出すと、周りにいた男子は体を小さ
 くさせながらため息を吐き、自分の席
 へと戻っていく。



 そう。
 あたしがスケジュール帳を手に取れば
 完全に一人の世界に入ってしまうこと
 を彼らはこの半年間で学んでいる。



 12月のページを開くと、小さな四角
 の中にバイトという文字。



 今日の放課後はバイトがある。



 っていっても、お母さんの店の手伝い
 なんだけど。



 あたしが幼い頃離婚した両親。



 それから女手一つであたしを一生懸命
 育ててくれたお母さん。



 小さいながらもスナックを経営してい
 るから、あたしはお手伝いとして毎週
 月曜日と金曜日はそこで皿洗いとか、
 小さな雑用を任されていた。



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