‐白雪姫と悪魔なアイツ‐
カラカラと小さく音を立て、開いた窓
から顔を出すと、もう真っ暗な寒い時
間帯。
薫くんという人はコートも着ないで、
制服姿のまま立っている。
「……何」
少し冷たい声で言い放つと、彼はニコ
ッと寒さの所為か、ひきつり笑いを浮
かべてちょいちょいと手招きした。
「今から外出てこれる??」
今から??
無意識に時計へと視線をやると、今は
もう夜の九時を過ぎている。
今まで女の子と一緒にいたくせに…。
自分の中に蠢(うごめ)く不思議な感情
に何て名前を付けたらいいのか分から
ない。
もう一度彼へと視線を送るけれど、既
にあたしが来るのを待っているのか、
寒そうに身を縮めて、自身の体を抱き
締めながら玄関先を見つめている。
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