‐白雪姫と悪魔なアイツ‐



 カラカラと小さく音を立て、開いた窓
 から顔を出すと、もう真っ暗な寒い時
 間帯。



 薫くんという人はコートも着ないで、
 制服姿のまま立っている。



 「……何」



 少し冷たい声で言い放つと、彼はニコ
 ッと寒さの所為か、ひきつり笑いを浮
 かべてちょいちょいと手招きした。



 「今から外出てこれる??」



 今から??



 無意識に時計へと視線をやると、今は
 もう夜の九時を過ぎている。



 今まで女の子と一緒にいたくせに…。



 自分の中に蠢(うごめ)く不思議な感情
 に何て名前を付けたらいいのか分から
 ない。



 もう一度彼へと視線を送るけれど、既
 にあたしが来るのを待っているのか、
 寒そうに身を縮めて、自身の体を抱き
 締めながら玄関先を見つめている。



.
< 33 / 90 >

この作品をシェア

pagetop