‐白雪姫と悪魔なアイツ‐



 「私これで転校するのは十回目なの」

 「え!?」



 回数に驚いたあたしは空になった缶を
 落としてしまった。



 コロコロと音を鳴らしながら転がって
 いった缶を、佐々木さんはゆっくりと
 追いかけて拾う。



 それを少し遠くにあるゴミ箱を狙って
 投げると、カランという他の缶とぶつ
 かる音と共に命中した。



 「すごーい」とそれに見取れていたあた
 しは、佐々木さんの横顔に視線を移す。



 「だから、友達作るのは得意だけど、
  その場限りの友達でしかなくて…」



 そう言った彼女の瞳は、悲しみを帯び
 ていた。



 「でも、白雪さんとは友達になりたい」



 眉を下げて微笑んだ佐々木さんの顔は
 悲しいような、笑っているような、よ
 く分からない表情をしていた。



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