‐白雪姫と悪魔なアイツ‐



 不意に思った。

 あたしだって佐々木さんと友達になれ
 たらなって…。



 「…何であたしなんか??」



 分からなかった。どうして佐々木さん
 があたしなんかと友達になりたいのか。



 その場限りだったとしても、佐々木さ
 んなら誰とだって友達になれる筈。



 こんな不器用なあたしなんかと、友達
 になったって楽しいわけない。



 佐々木さんはあたしの隣に座ると、あ
 たしの方に顔を向けて言った。



 「薫ちゃんの好きな人だからかなッ」



 佐々木さんはそう言うと、ニコッと笑
 った。



 この際佐々木さんが薫くんのことを、
 〝薫ちゃん〟って呼んでたり、薫くん
 が佐々木さんのことを、〝ちーちゃん
 〟って呼んでることなんてどうでも良
 かった。



 誰にだって過去はある。



 それは誰にでも話せる過去だったり、
 話したくない過去だったり。



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