‐白雪姫と悪魔なアイツ‐



 「ちょっとお手洗い」



 姫ちゃんはひきつり笑い丸出しで、俺
 の横を通り過ぎる。



 一瞬目が合ったけど、すぐに反らされ
 てしまった。



 パタンと静かに扉が閉められて、足音
 が遠ざかっていくのが分かると、俺は
 持っていた紙袋をちーちゃんの前の小
 机に置いた。



 「…ドジ」



 予想通りのツッコミに俺は何も返す言
 葉が見つからない。



 ちーちゃんはお袋が作った煮物を覗
 き込みながら「おいしそー」なんて言
 って笑ってる。



 「姫ちゃん誤解したよなー、絶対」

 「したでしょ、絶対」



 またしても予想通りの返答にガックシ
 と肩を落とす。



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